アフメット君のひみつ


「お子さんですか?」

お客様によく聞かれるのですが、我々にそんなおっきな息子はいません。近所に住む少年アフメット(自称13才)です。

アフメットは、ラマザンアービー(兄貴)のことが大好きで、私のこともついでに慕ってくれるので、近所の子供たちの中で唯一ぺんしょんへの出入りを許し、ちょこまかと働いてもらっている少年です。

小さな少年をビジネスの場に置いておくのはどうかと思っていたのですが、

ラマザンもイボも戻ってきた掃除のおばちゃんも、何かしら彼を頼りにしているので、ここはこの国の人たちに従うことにしました。

ここトルコでは彼くらいの年ではもう働くのはあたり前、

電気屋さん水道屋さん車の修理屋さん、

子供たちがみな大人の手元になり、見よう見まねで仕事を覚えていくのです。

勉強(高学歴)=就職に有利=将来高収入、という図式が、

学費の問題や勉強嫌いという国民性が顕著なトルコ、特にこのような田舎では全く通用しません。

小学校のときから靴磨きで家計を助け、中学校に入ったときには畑の肥え撒き、絨毯屋の丁稚、ペンションの手伝い、と3つの仕事をかけもちして、ほぼ中学中退のラマザン、

一生懸命働きたい素朴なアフメット少年に過去の自分を重ねているようで、褒めるのも叱るのも、本気と書いてマジで接しています。

アフメット少年は4人兄弟の長男、一家を支える大事なポジションですが、

ラマザン曰く、「頭の中に誰かがいる」病気らしく、特別養護学級に通っています。

そんなアフメット少年、ときどき不思議な言動を見せてくれます。




ある日の夕方、夏のセルチュクにしては珍しく雲行きが怪しくなり、急にバケツをひっくり返したような大雨になりました。

外出先でラマザンが急に「昼間イボとアフメットと屋上で作業して電ノコとかそのままにしてきた!雨に濡れたら全部壊れる!!!」

もう手遅れかもしれないけどペンションには一応電話しよう、ということでイボに電話しました。すると、

「オレもすぐ気付いて屋上に行ってみたら、ジューンの犬小屋に今日使った電気工具一式きっちり隠すように収めてあって、丁寧にビニール袋までかけてあった。」

というのです。

ペンションに戻りアフメット少年に聞いてみると、いつものたどたどしい口調で言いました。

「なんとなく、そうしたほうが、いいと思った。」




ぺんしょんには、いろんな押し売りや寄付を求める人たちがやって来ます。

ある日のこと、ぺんしょんに「体の不自由な方・生活が困難な方への寄付」を求める女性がやって来ました。

留守番をしていたアフメット少年が対応したのですが、ちょうどその時間に外から帰ってきたイボがそのやりとりをこっそり聞いていたそうです。

アフメット少年はその女性に言いました。

「ボクは普通の学校に通っていない。おうちも貧乏。でもそんなお金回ってきたことない。」

女性はすごすごと退散したそうです。




ぺんしょんの階段で滑ってひざをぱっくり割って大出血しても、「道路で一人で転んだ」と親にウソをつき。

学校で先生に叱られると、「ラマザンアービーに言いつけてやる!」と学校から逃げ帰り(ラマザンをなぜかこの町内の権力者だと思っている様子)。

持ち前のおっちょこちょいさで、ラマザンとイボに怒られても怒られてもぺんしょんにやって来てほうきで掃除しているアフメット少年。

どんなに臭いものを練ってきてもうれしそうにジューンの首輪を外してシャンプーをしてくれるアフメット少年のいじらしさには、心を打たれるものがあります。

「将来の夢は消防士」という彼、

どんな大人になるのか、今から楽しみです。


ご近所さんからの差し入れのザクロとピンクトマト





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Comment

いい話ですね

いいお話、じーんと来ました。

お受験ばやりの昨今ですが、そういう子供も受け入れられる場所(ぬるさん)があるのがいいですね。(*^^)v
  • 2014⁄10⁄12(日)
  • 09:10
  • [edit]

いろいろと考えることもありますが・・・

>kaoriさん
日本の感覚を忘れてはいけないと思う反面、こちらのやり方を受け入れなければいけないときはやはりどうしてもありますね。
お客様の迷惑にならないようにお手伝いしてもらっているつもりですが、いろいろと気になることはあります。

> お受験ばやりの昨今ですが、そういう子供も受け入れられる場所(ぬるさん)があるのがいいですね。(*^^)v

彼の将来に少しでも役に立てば、とラマザンは考えているようです。寛大な気持ちで地域が子供を育てる、昭和的感覚がトルコには残っているような気がします。
  • 2014⁄10⁄13(月)
  • 03:03

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