思い出は進化する


旅の友

2011年初夏、腕時計を買いました。

世界一周の旅をするにあたって、何軒も見て回りようやく100%気に入るものが見つかり即決したのは、フィンランドのメーカーのSUUNTO。購入した日は説明書とにらめっこして一晩過ごしました。


ネパールの山道にて
(ネパールのトレッキング道にて)

一年半の間、あるときはカレンダー、あるときは標高計、あるときは気温計、あるときは目覚まし、シャワーをするときも寝るときもいつも腕につけ、いっしょに世界を見てきた旅の相棒。日本に帰国する直前、役目を終えたかのようにベルトが切れました。

帰国後、ベルト修理の際に盤面のキズも直してもらおうとしたのですが、もう製造されていない型なのでパーツだけの修理は不可能、とのことで、本社に残っていた本体を送ってもらい、結局本体も新品に交換してもらいました。もちろん有償です。後で知りましたが、SUUNTOは何かと故障が多い上、正規で購入したものであっても修理規定がとても厳しいです。

先日、自分で電池交換ができるこの時計、切れた電池を替えた途端、タハ君が噛んで引っ張ってまたベルトが切れました。だいぶ疲れていたのでしょう。ベルト通しもひとつなくなっているし、本体も擦れている。どうしたもんかな、と思っていたら、ラマザンが「ちょっと借りるね。」

翌日、家に帰って来たラマザンが不安そうな顔をして言いました。「気に入ってくれるといいのだけど。」


つけて見ると意外とかわいい



変わり果てた姿で帰ってきました。

あなたの大事な時計だったなら、どう思いますか?





わしは、この時計を見た瞬間、びっくりしたのはもちろんですが、でも、とてもとてもうれしかったのです。

ベルト通しが切れてなくなったのはもうだいぶ前のことなので、春に日本に帰ったときに何軒も時計屋を回りましたが「正規のお店じゃないとこの時計は無理」と門前払い。日本ではわっかひとつでも無理だったものが、ラマザンの友人の革職人が、古いベルトを芯にして新しいレザーでコーティングしてくれたらしく、また生まれ変わって手元に帰ってきたのです。次回帰国した際に購入したお店に行ったとしても、修復不可能あるいはもうひとついい時計が買えるほど高額な修理費を請求されたでしょう。

たとえ荒療治でもなんとかしてみせる。この国の、強さとか、たくましさとか、なぜかやさしさまで感じ、この国流に生まれ変わったこの時計を見て、胸が熱くなりました。レザーの色がピンクだろうが、そんなことどうだっていいのです。

「気に入ってくれてよかった。」

何度も何度もそう言っていたラマザン。ありがとう。




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ぬるぬるな日々
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海外情報
theme
トルコ

Comment

うるうる

>たとえ荒療治でもなんとかしてみせる。この国の、強さとか、たくましさとか、なぜかやさしさまで感じ

このク○トルコ!
だから、いつまでたっても途上国なんだよ!

ほぼ毎日のように口にしているような気がするのですが、
そうそう、ときどき、この国の強さ、日本にはないものを
感じるのです。いい加減な奴らが多いんだけれど、
心底憎めないんですね。

フィンランドにそんなメーカーが
あったとは初めて知りました。

生まれ変わった時計、
今度はアヤコさんご家族と一緒に
時を刻んでくれるんですね!
  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 05:33
  • [edit]

古き良き時代ですね

携帯で時間をチェックする昨今ですが、旅の時はわしはいつものスウォッチ。一緒にラ・トマティーナにもセルチュクにも連れていったわしの旅の三種の神器(これ、パスポート、(お金の下ろせる)クレジットカード)みたいなもんじゃけアヤコさんの気持ち解るよ。

職人さんっちゅうのが少なくなっている世の中だろうし、取り扱い説明書以上の事は責任がもてないって所だと思うけど、「ちょっと難しいですね〜、でもちょっとやってみましょう」って請け負ってくれる度量の大きさが見かけられなくなってしまったんだろうと思います。商品が洗練したことも理由のひとつだろうし、お客さんの方もタチが悪くなっているのも実情。
ここで泣かされるのが、新品をプレゼントじゃなくて修理した、というところ。ラマザンさんも内心ドキドキだったろうと思うよ。半壊れかけじゃけあれ以上ひどくはならんじゃろうと思ったかもしれんけどなんかの拍子でぶっ壊れたら一生祟られるかも知れんとか考えたかもしれんし。

人情の熱いトルコ、早よ帰りたいです。(テーマソングは金八先生のひとーとして〜🎶)
  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 07:34

驚きふたつ!+1。

大好きになったトルコ人(いやラマザンか)のなんでもやってみせる根性にまた魅せられました!(驚き1つ目)
確かにたいていの物は直すより買い替えた方が安くつく時代となり、その利便性に物を大事に使うという事を忘れつつある昨今。
私も例外ではなく、なんやかんやと買い替えすることが多いのですが、
簡単に手に入るものはすぐに手放し、そうでないものは捨てれない。
物には愛着があり思い出があり歴史があるから。

ほんの4年の間にその腕時計とともに旅をはじめて、たくさんのものを見て、たくさんの人に出会い、そしてガテン系伴侶にたどりつき、世界遺産を産み出したあなた!(驚き2つ目)

その時を刻んだ腕時計を買い替えるとこなく、生れ変らせてくれたラマザン(のお友達も)かっこいい!
(最近は何も直せん子が多い。。。実際私はできないから大きな声では言えんがね)
古きよき日本を思い出させるんだよね~。
だから好きです。肩肘はらず自然でいれる感じが。
早く戻りたい、それはアスカさんと一緒。
でもやっぱり選曲が昭和なのに+1の驚きです(笑)

  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 09:58

形あるものは壊れる

>ラム子さん
いろんなものがいい加減だったり、人の対応がいい加減だったり、こちらがたくましくないとへこたれてしまう国なんじゃないかと、試されているような気にさせられる日々です。小さなことを気にしていると、自分の心が狭いのかな、とつい思ってしまう瞬間もありますが、いやいやそりゃ違う、と思ってみたり。
心底憎めない、ほんとその通りですね。
この時計に出会うまでは私も知りませんでした、SUUNTO。こういうことも含めての、出会いだったのかな。
生まれ変わった時計、トルコ仕様なだけにこれまたどれだけもってくれるかわかりませんが。。。
それまでの間大事に使おうと思います~。
  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 18:26

昭和なトルコ

>アスカさん
友人の革職人とどうやって直すか話して、「これこれこういう風に直してもらおうと思うけど、どう思う?」とまずわしに聞いてから、という流れが一般的ではないかと思うけれど、ラマザン的にはサプライズにしたかったみたい。日本では、相手の反応を気にし過ぎて、強引なやさしさに思いきれない人が多いように思います。お客さんのタチが悪い、たしかにね。そういう意味では日本という国は厳しくてちょと怖い。まあそれがジャパンクオリティーを築き上げた理由なのでしょうが。

>ラマザンさんも内心ドキドキだったろうと思うよ。

まさにそれ。
最近よく、「S(うちの実家の町名)、、せぶん、いれぶん、、、。」と呪文のように独り言いってる。なんかあって、わしとタハが家出して日本に帰ってしまっても、セルチュクから広島駅まではどうにか一人で行けるけど実家までたどり着くためタクシーの運ちゃんに言うセリフを忘れないようにしているみたい。なんもせにゃ家出せんのに。


だから選曲が古いっつーの。

  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 18:43

たしかに

>ユミコさん
わしの人生の一番濃ゆい4年間を見てきた時計だと思う。そう考えると、はいさよならよ~、とはなかなかできないね。
日本では断捨離という言葉がちょっと前に流行ったけれど、こちらでは古いものを直して使うのが当たり前。電気屋さんに家電や車の修理屋さん、ものが壊れてくれないと、ある意味彼らの収入がなくなるのです。ものを大事に使うというのは日本人が昔から得意とするところだったはずなのに、今は使い捨ての国になってしまったね。

>ガテン系伴侶
ぴったり!そのキャッチコピー。その割に神経こまいとこあるけど。

アスカの昭和な選曲は仕方ない、アップデートされてないから。ていうか、どんどん古くなっていっとるような気がする。

早く戻っておいで~、タハ山もぐんぐん大きくなってきて噴火しそうだよ~。

  • 2015⁄07⁄01(水)
  • 19:00

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